Case 3

Case2の続きで後手番。
先手着実に攻め続け、後手敗勢は変わらず。49竜と取るのは73角成以下詰み。

図1

29金と詰ましに行きたいが、38玉、46桂、同歩、47銀、29玉、49竜、18玉(図2)で足りない。

図2

この筋を念頭に入れ、後手は92玉!(図3)で逆転を狙う。

図3

84桂、同飛、同角成と桂を手駒に増やし、トン死を狙う意図。
実際には先手玉は詰まないのだが、桂一枚増えるとトン死確率が相当上がる。84角成以下のトン死狙いを見てみよう。

例1:図2と同様に29金、38玉、46桂、同歩、47銀、29玉と進めると、49竜、18玉に17香(図4)でトン死。桂入手が見事に役立っている。

図4

途中29玉が敗着で、47同玉なら49竜、48桂、46歩、同銀で不詰。

例2:36桂、同銀、29金、17玉、25桂、同銀には28銀~76竜(図5)でトン死。以下36歩合は35銀以下。36桂合には同竜。

図5

途中25同銀が敗着で、26玉なら不詰。

再掲図3

「深い形」について

図3の92玉の局面は、個人的に「深い形」と呼んでいる。私の言う「深い形」とは、囲いが壊れたあとの二次的安全地帯のようなもので、以下のイメージである。穴熊のような形とはちょっと違うニュアンスで使っている。

「少ない守備駒が効率的に玉の周りの8地点に利いており、攻める側からは質駒を作りやすく、Zに近い形」

図3はたった飛車一枚の守備でZに近い形を作れているが、これは端玉にして攻撃方向を限定したためである。これは早逃げが「深い形」を作るための重要手段であることを意味している。

また、仮に81が香だと84桂から吊り上げられて詰み筋が発生する。
一方飛は戻れるため、被王手地点(81,82,83,84)への利きを保てることに注意しよう。このことから、「深い形」と「戻れる駒」の関連性が垣間見える。

「深い形」についてはひとつのテーマとして今後研究していく予定である。

92玉
・味方の守備駒の利き範囲に入り、駒が入る形にする
・複数の攻め駒からの相対位置を遠くする

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