図1。角2枚の使い道が難しく、先手難戦。
切らすことは不可能なので、相手の攻めを遅らせつつ、どこかで攻め合うことを念頭に入れる。
88玉、58桂成(図2)を換わるのは必要な手続き。88玉は結局必ず指す手なので損はしない。守備銀も活性化される。難しいのはその次である。
図2で先手玉の速度計算をしてみる。
(55銀、同金、同飛)+68成桂+67とが詰めろなので4手スキ。駒が増えたら3手スキになるコースを探すと、68成桂+67とで持駒金銀なら詰めろ。しかし銀を使わずに金を入手するのは無理なので、概ね4手スキとみてよい。
もっと速い手があるかもしれないが、この段階での目的は方針決定であるため、この程度の概算で十分である。
この計算より、図2で先手は4手スキぐらいでついていき、なるべく駒を渡さず、攻防手や詰めろをほどくような手があれば速度逆転、という方針が考えられる。必ずしも3手スキ以下を探して急ぐ必要はない。攻防手や詰めろをほどく手が全くない進行のほうが珍しいからだ。
というわけで、図2から61角!(図3)と溜める手の意味がわかる。次に64歩が駒を渡さない3手スキ。61角に62金や71金は34角成とされつつ浮き駒を生じる。一枚馬ができるとだいぶ景色が違う。
図3以下、55銀、同金、同飛、44角(図4)。56飛と逃げると角の77への利きで先手玉が1手延びているので、64歩で速度逆転する。(注:だからといって先手勝ちになったわけでは全然ない)
本題の早逃げに戻る。
図1でもし66金がない形だったら、88玉の早逃げは67とを生じ、早逃げの価値が下がるだろう。つまり、早逃げによって玉で守っている地点を明け渡すデメリットが大きい場合は早逃げは悪手になると考えられる。
88玉
・複数の攻め駒から遠ざかる
・守備駒の利きの内側に入る
・将来必ず逃げることになる地点に先に行き、相手の手に応じて応手を変える