早逃げの目的や意味を分類したリストを紹介します。このリストは今後も分類の見直しを含め、継続的にアップデートしていく予定です。
1.王手放置禁止ルールに関するもの
相手の手を王手にさせないことで、その次の自分の手の自由度を上げる
- 早逃げにより王手を避け、攻める(特に取った駒を使う)手番を得る
- 早逃げにより王手を避け、受ける(特に駒を埋める)手番を得る
- 駒を打たせる手と交換し、その駒を取る(攻める)選択肢を作る
2.自玉と盤上の相手の攻め駒との相対位置を改善するもの
玉を移動することにより相手の攻め駒の働きを弱める
- 複数の攻め駒に対して玉が一路遠ざかることで、一手では複数の攻め駒を一度に近づけられないため、相対位置を遠くできる
- 小駒成駒に対し、斜め上に逃げて相対距離を広げる
- 馬に対して早逃げし、馬で追いかけると悪形になって追いかけられない(例:自陣への利きがなくなる、ハジかれやすい形になる)ことを利用し、相対距離を広げる
- 縦の攻めを横の攻めにさせて攻撃効率を下げる(横→下も同様)
- 線駒のラインを避ける・アンピンする
- 狭い空間を脱出する
- 5段桂に対して1段玉を2段目に上がり、桂成の効果を下げる
3.自玉と盤上の守備駒との相対位置を改善するもの
玉を移動することにより自分の守備駒の働きを高める
- 入城して王手がかかりにくくする
- 守備駒の利きの内側に入る
- 「深い形」を作り、駒が入る形にする
- 将来合駒したときに堅い形にする
- 挟撃形に対し、受けやすい方に移動する
4.玉位置の悪形を解消するもの
2.や3.は他の盤上の駒との相対関係に関するもの。4.は自玉単体の悪形に関するもの。厳密には両者を区別できないが、2.は相手の盤上の攻め駒に対する対策で、4.は相手の持駒を打つ手に対する対策であることが多い。
- 王手で抜かれる手や両取りの筋を消す
- 線駒など強い駒による隣接王手を防ぐ
- 詰みに必要な駒数を増やす
- シバリを防ぐ
- 玉のいた地点に駒を打てるようにする
- 今後自分が攻める予定のエリアから遠ざかる
- 金銀の逃げるスペースを作る
5.手渡しが主目的のもの
- 将来必ず逃げることになる地点に先に行き、相手の手に応じて応手を変える
- 相手に一手指させることにより、その一手を逆用した手を指せるようにする
1.と5.は意味合い的に近く、区別は難しい。
強いて言うと、1.は次の予測しやすい王手を事前に緩和する意味で、終盤の後ろのほうに出現するイメージ。
5.は必ずしも相手の次の手が王手とは限らず、玉を安全にしておいて力を溜める意味合い。中盤や終盤の入り口でも出現する
文章だけは分かりづらかったと思います。
実戦編では具体的な盤面で考えて行きます。